ニューヨークで魅せた“やまとごころ”──星野友利氏 個展

ニューヨークで魅せた“やまとごころ”──星野友利氏 個展

公開日:
2023-04-08
自然を“最高の師”と仰ぎ、伝統的な日本画に革新の息吹を吹き込む画家・星野友利氏。ニューヨークで開催された今回の個展では、四季の情景や神仏を描いた繊細な作品群が、多くの来場者の心を静かに、そして深く揺さぶりました。アートを通じて平和と癒しの光を届けたい——そんな星野氏の想いは、国境を越えて観る者の魂に届いています。

会期:2023年4月4日(火)~ 8日(土)
会場:One Art Space Gallery ワン・アート・スペース・ギャラリー(23 Warren St, New York, NY 10007, USA)

ニューヨークの新たなアートハブ、トライベッカ

ニューヨークは、チェルシー、ソーホー、ロウアー・イースト・サイドといったアートギャラリーが集まるエリアをいくつも擁する、大都市ならではの芸術の拠点です。ハイエンドなコンテンポラリーアートから、街角に描かれるストリートアートまで、幅広いジャンルのアートと出会える、多様性とエネルギーに満ちた街でもあります。

中でも、近年急速に注目を集めているのがトライベッカ地区です。ウォール・ストリートに隣接するビジネス街として発展し、マンハッタン中心部へのアクセスにも優れているこのエリアは、ハリウッドの著名人やトップクリエイターなど、富裕層が暮らす静かな高級住宅街としても知られています。

近年の再開発により、街並みはますます洗練され、話題のショップや人気レストラン、カフェが次々とオープン。さらに、著名ギャラリーの移転をきっかけに、多くのギャラリーがこの地に進出し始め、今や「次世代のアートシーンを担う街」として新たな存在感を放っています。

そんなトライベッカの中心に位置するのが、One Art Space Galleryです。

ギャラリー展示の様子
ニューヨーク・トライベッカ、アートと都市が交差する場所

“自然”とつながること――芸術への深い問い

日本画家・星野友利氏は、「自然を最高の師」と仰ぎ、自らを“自然”と“作品”の媒体と位置づける独自の世界観で作品を描き続けています。伝統的な日本画の枠組みにとどまらず、「求める表現のためにできること」を常に模索し、挑戦を惜しまないその姿勢が、今回のニューヨーク個展でも光を放ちました。

今回の展示には、日本の四季の美しさを繊細に映した作品に加え、私たちを守護する神仏の姿を描いた作品も並びました。
自然の静けさと生命の力強さが共存するような、バリエーション豊かで抑揚に富んだラインナップ。
平和を希求する星野氏の「明るく爽やかな力を描きたい」という哲学が反映された作品は、夢と野心が交差する都市・ニューヨークに、やさしくも力強い癒しの光を届けました。

「世には凶器や敵意に満ちた力も確かに存在します。そこに身をゆだねれば破滅します。だからこそ、私は明るく爽やかな力を発するものを描きたい。それこそが、大和絵の源なのです。」と、氏は語ります。

伝統的な日本画の技法、質感、色遣いを丁寧に継承しながら、常に新たな考察を重ねていく星野氏。今回の展示では、「柔さ」と「強さ」、その相反する要素を一つにすることを狙い、線描に太さを持たせられるよう意識した作品を公開しています。

繊細な表現が来場者を魅了

ニューヨーカーの心を動かした、日本画の静かな衝撃

今回の展示で、7点もの作品を「雷に打たれたような勢いで」購入したのは、トライベッカに住むご夫婦。展示を鑑賞したその日のうちに、星野氏を名所・ブルックリンブリッジを望む豪奢なアパートメントに招待し、作品をどこに飾るべきかというアドバイスを求めました。
シャンパンでもてなされたその夜、同じ建物に住む別のご夫婦も合流し、アートや日本文化への興味を語り合う、温かな交流のひとときが生まれました。

展示を訪れた観客からは、こんな声も届いています。

「美しい絵画だ。画面全体が落ち着いた雰囲気を作り出している。」
「今後またニューヨークで展示される際には、ぜひ教えて欲しい。」
「一見、写実的な作品のように見えるが、ただ写実的なだけではない。その繊細な表現技術によって、リアルに見えるものがさらに別次元の芸術に昇華されている。」

星野氏の作品は、ただ「美しい」だけではなく、静けさの奥にある精神性や技術力、そして日本画がもつ独自の次元性に深く触れる体験となっていたようです。現地のコレクターやアートファンの心に確かな印象を刻みました。

日本画の奥行きを体感するひととき

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