書道で培った流麗な線と、現代的なポップな表現を融合させた作風の「マンガ墨絵」を確立した住吉香南氏が、フランス・パリで個展を開催。今回は、篆刻や編みぐるみ、越前箪笥の形をしたかばんなど、新たな表現を携えて登場しました。
会期:2024年10月29日(火)~11月5日(火)
会場:GalerieEtienne de Causans 25rue de Seine 75006, Paris
智と文化のブランド街、サンジェルマン・デ・プレ
会場となったギャラリー「エチエンヌ・ドゥ・コーザン・ギャラリー」があるのは、パリ6区のサンジェルマン・デ・プレ地区セーヌ通り。トップブランドのデザイナーや、セレブが集まる有名エリアです。洗練されたショップが立ち並ぶ中に古い町並みが共存しており、世界中の観光客を魅了し続けています。
無数のギャラリーが存在するパリの中でも、セーヌ通りは有名ギャラリーが軒を連ねる中心的なエリアです。「エコール・デ・ボザール(フランス国立高等美術学校)」も隣接するこの一画はカフェや教会までもがアートで彩られ、ギャラリー巡りをするアートファンや観光客、美術関係者の足が絶えることがありません。

無数のギャラリーの中でも際立つギャラリー
「エチエンヌ・ドゥ・コーザン・ギャラリー」は、セーヌ通りの中心に位置する有名ギャラリーの一つです。フランスのみでなく各国の美術家の展覧会を成功に導いたこのギャラリーが、今回の個展会場となりました。
9歳の時、皇室献上書家の河野斗南氏に弟子入りし、研鑽を続けてきた住吉香南氏。身に沁み込んだ書道と、アニメ・漫画の聖地・秋葉原で生まれ育った環境から確立した“Kawaii”マンガ墨絵は今や、世界中を駆け巡っています。
今回は越前箪笥やオーダー家具などを手掛ける伝統工芸の匠・山口祐弘氏、また編みぐるみやセーター、インテリアグッズなどを制作しているニット・ハンディクラフト作家の白戸薫氏とのコラボレーション作品も登場。ベルニサージュ開始20分で販売に至った作品もあり、目の肥えたアートファンからの喝采を浴びました。

ギャラリストのコメント
私たちは、当ギャラリーで住吉香南の作品をお迎えする喜びに恵まれました。
この機会に、彼女自身がパリにいらっしゃり、彼女と出会えたのは私にとって喜びです。のみならず、彼女から作品について直接ご紹介いただくこともできました。
書道は、彼女が9歳の時に学び始めたものです。それに加え、驚くべきことに、非常に現代的な手法で描かれた漫画表現も見ることができます。作品の中で、この2つの文化が交わっているのです。
本展覧会では、注目すべき漫画作品の数々が展示されています。人物や動物たちは非常に存在感があり、絵画の枠から飛び出してきそうな印象を与えます。例えば、背中にクマを乗せて竹林の間を跳び回る虎の作品は、特に見応えのあるもののひとつです。
この展覧会の訪問は、美的な喜びに満ちています。
(ギャラリスト/オーナー、エチエンヌ・ドゥ・コーザン12世)
