宮内勝廣「舞妓つれづれ」
公開日:
2017-01-31
伝統と現代の感性が静かに交差するモノクロームの世界。
宮内勝廣氏の作品集「舞妓つれづれ」は、祇園や宮川町など京都の町並みに息づく芸舞妓の日常を、詩的な視点で切り取った珠玉の写真群です。
そこに描かれるのは、華やかな舞台姿ではなく、ふとした瞬間に垣間見える素顔。日差しと影が織りなす情緒、繊細な所作やまなざしの中に、見る者は時を忘れ、幻想的な世界へと誘われます。
すべての構図とアングルに意味が宿り、不要なものをそぎ落とした画面には、写真でしか表せない美が際立ちます。
H.C.=ブレッソンの哲学を胸に、鋭い観察眼と研ぎ澄まされた感性で「決定的瞬間」をとらえる宮内氏のまなざし。そのレンズを通して私たちは、芸舞妓という存在の奥にある、より深く、豊かな人間の美しさと出会うことができます。
画集・A4判・36頁