歌集 庄司はるみ「さくら便り」
庄司はるみ氏による歌集。本書は、著者が自身の年齢を意識し始めたことをきっかけに、最終歌集として自らまとめることを決意したものです。ある日、もし自分が亡くなった後に遺歌集を出してほしいと娘に頼んだところ、「自分にはそんな力はない」と断られ、自身で整理する必要性を感じました。そこで、前歌集『青い睡蓮』以降の作品を見返してみたものの、内容に納得できず、自らの老いと向き合うことになりました。夫の死や年齢を重ねたことによる心情が色濃く表れた作品に迷いを覚えつつも、「短歌を続けてきてよかった」という実感が深まる中で、これらの歌をひとつの節目としてまとめるに至った経緯があります。