【ロンドン個展 2018 レポート】 アートの最先端街・ホワイトチャペルをジャポニズムが席巻!

【ロンドン個展 2018 レポート】 アートの最先端街・ホワイトチャペルをジャポニズムが席巻!

2019-01-10

世界のアートファンが押し寄せるロンドン・ホワイトチャペル

大英博物館をはじめ、世界有数の美術館・博物館を擁する街、ロンドン。その多くが入場無料なのは、国の政策として、博物館・美術館の開放が国民の福利厚生の向上につながるという考えに基づいているからだとか。誰もが気軽にアートに触れられる環境が整うロンドンには、質・量ともに最先端と最高峰のアートが集結しています。このように恵まれたアート環境が整うロンドンにあって、最も旬なギャラリーが軒を連ね、アートファンからの熱い注目を集めているのが、ホワイトチャペル地区です。

_DSC8146_R
ホワイト・チャペルの地名の元となったセイント・ジョージ教会。

ロンドン・メトロポリタン大学のアートスクールと学生組合の本部や、英国の近現代美術を牽引し続ける代表的な公営アートギャラリーである「ホワイト・チャペルギャラリー」が居を構えるこの地区は、街行く人々が纏う雰囲気もどこかアーティスティック。大通り沿いの壁やショップのシャッターをキャンバスに、いたるところにハイレベルなストリートアートが描かれ、アートムードを盛り上げます。

_DSC2349_R
個性的なブティックが立ち並ぶショッピング街としても人気が高まっている。
_DSC8140_R
ストリートアートが景観になじんでいるのもホワイト・チャペル地区ならではの光景。

アート業界が注目するレイデン・ギャラリー Leyden Gallery!

_DSC2339_R
レイデン・ギャラリーの外観。

個展会場となったレイデン・ギャラリーは、2013年にオープンした比較的新しいギャラリーですが、人通りの多いレイデン通りの角に位置する立地の良さと併設されたバーの効果で、常に人が入れ替わり立ち替わりやって来る人気のスポット。オーナーを務めるリンジー氏とパートナーのアドレアナ氏がキュレーションする展覧会やパーティー、ライブなどさまざまなイベントが催されています。リンジー氏自身がコメディアン、ミュージシャン、俳優として活動するアーティストのため、ギャラリーはリンジー氏の交友関係をはじめとするアート業界人にとってハブのような場所にもなっています。

_DSC8682_R
雰囲気のあるレンガ造りの佇まいが目を引くレイデン・ギャラリーのビル。
_DSC8224_R
バーカウンターでは、なじみの客同士が挨拶を交わし合う。
_DSC8358_R
アットホームな雰囲気もレイデン・ギャラリーの大きな魅力のひとつ。
_DSC2432_R
レイデン・ギャラリーのオーナーを務めるリンジー氏(右)とアドレアナ氏(左)。2人の人柄に魅かれてギャラリーを訪れる人も多い。
ロンドン レイデン・ギャラリー
9/9a Leyden Street London E1 7LE
Aldgate(オルドゲート)駅から徒歩6分、Liverpool Street(リバプール・ストリート)駅から徒歩10分

ロンドン待望のジャパン・アート展を春秋2会期で開催!

_DSC2955_R
大好評を博した美人画がモチーフの押絵展。プライベートビューは、大勢の招待客でギャラリーが満員御礼に。

そんなロンドンのアート界を牽引するレイデン・ギャラリーにおいて、当法人が世界各国で展開を続けている日本文化発信事業、JAPAN TIDE(ジャパンタイド)の一環として開催された日本人アーティストによるロンドン個展。2018年は5月29日(火)~6月16日(土)の春会期と、10月2日(火)~13日(金)の秋会期で、6名のアーティストの個展を開催しました。イギリスでは、2017年に大英博物館で開催された葛飾北斎展「Hokusai beyond the Great Wave」以来、浮世絵や伝統工芸品、さらには日本的なデザインを含むジャパン・アートへの注目が非常に高まっており、ジャポニズムブームに沸いています。

とくに秋会期では、美人画がモチーフの告知フライヤーを事前配布したところ、人気のあまり早々に品切れとなる事態に。展示初日から予想を大きく上回る来場者でギャラリーが埋め尽くされ、ジャポニズムブームを裏付ける大盛況となりました。

Taro1
ロンドン中の多数のギャラリー、文化施設、日本食レストランやバーにフライヤーを設置し、大々的にPRを展開。
_DSC8633_R
会期初日は、大勢の人々が詰めかけることが多い。
_DSC8554_R
書の展示は日本好きにとくに人気が高い。
_DSC8342_R
来場者を温かく出迎えるリンジー氏。
_DSC7801_R
バーでは、おもてなしのスパークリング日本酒がふるまわれた。

ジャポニズムブームに沸くロンドンのアートシーン

来場者の内訳をみると、フライヤーを手に“日本人作家の個展”と聞きつけてやって来た人が多く、今のロンドンでは“ジャパン・アート”が旬のジャンルであり、アートファンに限らず誰もが高い関心を寄せていることがうかがえました。特に日本的な情緒のある作品-たとえば書や水墨画、着物といった和のモチーフ-が好まれ、また、在廊する作家に積極的に質問をしたり、じっくりと展示パネルを読み込むなど、より深く作家の世界観を理解しようとする、アートに対して熱心な来場者が多い点もロンドンの特長と言えるでしょう。

_DSC2423_R
会場には英国王立芸術協会前会長のジェームス・ホートン氏らVIPも訪れた。
IMG_0436_R
アンケートへもぎっしりと書き込みをしてくれる来場者が多いこともロンドンの特長。
_DSC7874_R
「作品に描かれた羽根の美しいこと! 構成にもこだわりが感じられます」
_DSC8647_R
「紙と墨が織りなす芸術作品、陽気で力強いエネルギーを感じました」
_DSC2427_R
「私の“いつか行ってみたい日本”がキャンバスいっぱいに広がっていました」
_DSC2588_R
「大変美しいです。繊細でとても愛らしく、見る者を魔法の世界へ連れて行ってくれるような気がしました」
_DSC2727_R
「さまざまな生地を組み合わせて作られた人形の衣装が素晴らしい! 立体感や布の彩り、全体と調和した和紙の背景も素敵です」
_DSC2996_R
作品を購入してご満悦な男性。
_DSC2798_R
「怒り、恐怖、嫉妬、恥じらいなど、あらゆる場面が人形の表情に生き生きと描写されていて素晴らしかった」
IMG_0790_R
「日本人の展示はロンドンでは大変珍しいです。偶然にもこの展示会に出会えてとても嬉しいです」
_DSC2430_R
「明るくて華やかな上に、日本文化が力強く描かれていると思いました。日本人形が素敵でかわいらしいですね!」
_DSC8653_R
「とてもうまく描かれていて、遊び心が満載なところが非常に気に入りました。たくさんのストーリーが秘められているように感じました」
_DSC2935_R
「すべての作品に物語があり、伝統と豊かな想像力から生まれた世界が楽しめました。美しくて素敵な日本の方の作品に出会えてよかったです」

高いポテンシャルを持つイギリスのアート事業

_DSC2565_R
日没後もギャラリーは賑わいが続き、アート談義に花が咲いた。

イギリスは、ヨーロッパでフランスに次いで国民1人あたりの文化予算が高い国(※1)であり、日本の約3.5倍、アメリカの6倍にも及ぶ高いポテンシャルを持っています。イギリス国内の美術館、博物館の多くが無料で開放されているのにも関わらず、この数値となるのは、アートマーケットが成熟し、有料の美術館へも日常的に行くようなライフスタイルが広く定着しているからではないでしょうか。良いものを長く丁寧に使う価値観が根付くイギリスは、繊細な技術やオリエンタルな魅力を持つジャパン・アートともともと親和性が高い場所であり、さらにジャポニズムブームの追い風も相まって、新しい才能と作品が待ち望まれています。当法人は今後も個展やグループ展を積極的に行い、さらなる日本文化の発信と優れたジャパン・アーティストのプロモーションに力を注いでまいります。

※1 平成29年度文化庁委託事業「諸外国における文化政策等の比較調査研究」より

_DSC2338_R
_DSC8159_R
whitechapel1

個展・グループ展に関するお問合せ

下記、または「お問合せメールフォーム」よりご連絡ください。追って担当者よりご返信いたします。

◎宛 先 : 一般社団法人 ジャパンプロモーション Japan Tide 運営事務局 行
◎住 所 : 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-18-10 海老名ビル 4階
◎電 話 : 03-5766-2450/ファクシミリ:03-5766-2451
◎メール : info@japanpromotion.org

海外展開サポート海外個展・グループ展ロンドン ギャラリー展示

この記事のプロジェクト

関連記事